インターネットの良さは、地理的に離れていても活動していることを知ってもらえることや、手軽に作風を知ってもらえるというところにあると思います。ネットをきっかけに展示に足を運んだ、ということも多々あると思います。
ただ、私はタブローで描いてきた人なので、本来物質的なものである作品を、画像だけで判断することに、最近は抵抗を感じることが増えてきました。
画像で見ると割と素敵なのに、原画を見たら感動が薄れた経験がいくつかあったからかもしれません。
描画材にはそれぞれ特質があって、私が使っている油絵具であれば、そもそも支持体や下地の作り方も様々ありますし、画用液との組み合わせや、筆だったりペインティングナイフだったりの使い方で、様々なマチエールが現れます。
物質で作り上げたものは、やはり物質としての存在感が切っても切り離せないものです。それも含めて、初めて作品の全体像なのです。
画像でばっと見て、視覚的に惹かれて楽しむことも悪いとは言いません。そういう楽しみ方もあるのでしょう。
しかし、ふっと目に止まるものがあると、最近の私は画像を拡大してマチエールや筆致を見ようとしてしまいます。
それは、重箱の隅をつつく行為とは思いません。
画像で見ても惹かれ、
原画を見たらさらに味わえる、
そういうものを創りたいなと改めて思います。
物質を扱っている以上、私の創っているものは物質なのだと思います。