2016年11月23日

【「最後の秘境 東京藝大」久しぶりに、読了できた本】

少し前にどこかに掲載された記事でこの本を知りました。

「最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常」
著者:二宮敦人/出版社:新潮社

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多分、この本は読まない。。。と思っていました。
最初に見かけた紹介記事で、なんだか随分と画学生がバカにされている気がしたから。

それが偶然、いえ、結局気分を害した分だけ忘れられなかったわけです、ある日用事の場所に早く着き過ぎてしまい、時間稼ぎに入った書店の新刊コーナーで、平積みになっていたこの本を思わず手に取ってしまった。

著者のパートナーは現役芸大生。
芸大生(音楽、美術)へのインタビューを元にしたノンフィクション。

何ページかめくってみると、「インタビューが丁寧な作家だな」という印象を受けたので、読んでみる気になりました。

私は絵を描く人なので、「東京藝大」というと美術学部の方しか思い浮かばないのですが、実際には音楽学部もありますよね。この本は、美術学部、音楽学部、双方の学生へのインタビューに基づいて書かれていました。

つまり、美術のことと音楽のことが交互に出てくる感じで構成されています。

そのため、頭を切り替えながら読み進めるのがちょっと大変だったのですが、本を読むのが遅く、時には読み終えられないほどの私なのに、2日間くらいで読了しました。

読み終えて最初に思ったのは「いい本だったな」です。
インタビューが丁寧で文章もシンプルなので、作家の主観は入っているにせよ、一定の価値観へ誘導するような作為的な印象がなかったからかな、と思う。

ただ、全体的にシンプルゆえに淡々としていてあとがきも無いので、ふわ〜っと終わってしまう感じはして。

そのせいなのか、改めて本のタイトルや帯の煽りっぷりに、妙な感心をしてしまった。

私も美大を出ていないから藝大は未知の世界ですが、「最後の秘境」かどうかはわからないし、
(そこまで神秘のヴェールで覆わなくても)

どう読んでも「抱腹絶倒」はしないし、
(どこでお腹抱えて笑っていいのかわからなかった)

「探検記」というほど探検じゃないし、
(藝大生に取材をしたノンフィクションですよね)

うーん。。。

卒業後の行方不明者多数、も結構な言い方で、
行方不明、という言葉のインパクトもさることなれど、何を基準に「行方不明」としているのか、帯のフレーズだけだとわかりづらい。
(本文を読むと、ああそういうことね、と思います。)

−−

私も描く側にいる人間で、学生時代には合唱に明け暮れた経験もあるので、この本に書かれている学生たちの姿はさほど不思議なこととは思えないというか、いろいろ噛み締めながら読んだけれど、表現の外側にいる人たちには、ひどく奇異に思えることばかりなのかな。

まあ、私にも「畑違いの人たちの考えていることって、独特でわからないわー」と思う場面はたくさんあるので、そういうこともあるのかも。。。

私が自分の立場でこの本を誰かに勧めるとしたら、まずは、一生懸命に絵を描いてきたのに、現在進行形で色々なことが見えなくなってしまっている人たちでしょうか。

夏に通った芸大公開講座で、油画の先生による講評の中にあった「切実さ」という言葉が印象にのこっているのですが、表現を目指す人たちにとって、表現というものがどれだけ「切実なこと」なのか、その原点を振り返れるかもしれない、そういう本だと感じました。

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最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常
posted by はやしすみこ at 23:17| 東京 ☀| 音楽・演劇・映画・本・グルメ・その他雑食 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする