少し前に、デッサンが上達すれば油彩も自然に上達するよ、と励ましてくださった方がいらっしゃいます。
鉛筆と筆では描き味が全く違うので、そこは使いこなさねばなりませんが、どちらもしっかりとした物の見方ができていることが肝心だ、と仰りたかったのかなと思います。
まず、デッサンの上達って何なのだろう。
デッサンは、特に初心者のうちは目の前の物を緻密にそっくりに描くことである、というイメージが強く、モチーフの輪郭を線で何度も描き直しながら、うまくいかない、とがっかりすることが多いかもしれません。
しかし、まず物の塊としての様子にフォーカスして描き始めると、意外と見えてくるものは多い。
よく言われる、陰影で立体感を描くというのは、つきつめていくと単純なことではないと、私自身も最近になってようやく少し実感するようになってきました。
陰影は単純に、物の立体感の表現のためにあるのではなく、自然界の光と物体と空間の関係を表現するためにある。静物画というのは、自然界の光の法則を知り、絵の中に取り出すことから始まるのかもしれません。
日本の巨匠、東山魁夷が深い悩みに陥った時、「心を鏡のようにして自然を見ておいで」と師が語ったそうです。この言葉はもう10年くらい前に知って忘れられないエピソードですが、デッサンのトレーニングをする上での心構えにも通じると今では思います。
さて、毎日少しずつですが、デッサンはするようにしています。インスタグラムでぼちぼち紹介していますので、ご興味があればフォローください。
そして、本画のほうはなかなか進んでいませんが。。。今、自分が積み重ねていることが決して無駄にならないことを祈りながら。
ひとまずは、もう来週の月曜日に搬入がせまっている現代童画会の春季展のF8号を描き進めることにします。