誰かが植えたのか、もともとそこに生えたのかわからないけれど、1本だけ見事に育っている大きな樹。
特に誰かが手入れをしているわけでもなく伸び放題だけど、季節が巡ると紅葉して葉を落とし、また芽吹き、繁るのを繰り返す。
実はそういう樹の存在は、私の癒しみたいになっていて、通りがかりに樹肌を眺めたり触れてみたりが習慣のようになっています。
少し前のウォーキングの途中、久しぶりの道を通ってみたら、ちょっといびつな形に幹が育った1本の樹が跡形もなくなっていました。理由は簡単。その樹の生えていた場所の至近距離に、駐車場の駐車スペースが増えていました。
通りかかるときには毎回しげしげと眺めていた樹なので、まだ少し風景の変化がさみしいのですが、ふと地面に注意を向けてみると、その樹の生えていた場所の雑草が、ひときわこんもり茂っている。
まだもしかして、地中にはあの樹の生命力が残っているのかなあと思ったり。
空を見上げると、まだお気に入りの樹の風景はたくさんあって、これがいつまでも残ることはないんだろうなあと思うとまた切なさをかみしめてみたり。
なんてことはない、特別なものでもない、ただの樹なのだけど。