「自分が持っている人物クロッキーのレッスンにいらっしゃる熱心な生徒さんに、より良いレッスンを提供するためにも、自分のクロッキーの経験値を上げたい」ということが第1の理由なのですが、実はそれだけではもったいないな、という気持ちになったのが今回のクロッキー会でした。
今年に入ってから、トレーニングとしての側面に加えて、「絵作りも意識する」方向に自分のクロッキーを変化させていきたいという意識を少しずつ持ち始めています。
モデルさんは生の人間ですが、絵のモチーフです。
まず、クロッキーも自分の作品である、という意識を持つ。
その上でモデルさんを見て、何を感じ、何を受け取って、何を表現してみたいと思うか。
クロッキーの絵作りのスタート地点はそこにあると考えます。
実は、ここのところの酷い風邪からくる体調不良で、先日、自分が開催した「お互いに描き合う人物クロッキー会」あたりからどうも思うようなクロッキーができないことに気づいていました。
今回も、描き始めはなんだか落ち着かなくて、最初の5分ポーズ4本の1本目はすっかり無駄にしてしまった感があり。これではいけない、と2本目からは、さぐりながらも意識を集中しました。
5分が終わって10分のポーズに入ったのですが、10分の1本目の薄布を使ったポーズ。
モデルさんが薄布をまとった感じがすごく良くて。
ああ、なんてきれいなんだろう、と思いながら描き進め、ふと気づくと、無意識に手が髪の流れを増やしている。ちょっとだけ、モデルさんと自分の間に、風の流れを感じました。
こんなの、初めての経験。
精霊のような、現実離れした存在感が目の前にある感じ。
その後は、どのポーズも髪が微風に揺れるイメージで仕上げていきました。
黒いランジェリーを使った着衣ポーズでは急に大人の女性のイメージが強くなりましたが、全体的には、頬に温度のある伏し目がちで、少し幼い顔立ちになりました。
後半では、5分ポーズでも良いものが描けたかなと思いますが、全体的には10分ポーズでちょうどうまく描き切れる感じのモデルさんだったというのが最終的な感想です。
また近いうちに、同じモデルさんで描ける機会があるといいなと思います。
私は美術モデルの業界のことはほとんど知識がないのですが、やはり人気のあるモデルさんというのはいらっしゃるのでしょうね。
モデルさんの魅力を引き出して、素晴らしい作品へと導いていく。
そこに作家の実力が問われると思います。
さて、今回のクロッキーから、10分ポーズ。


こちらは5分ポーズ。


他のポーズは「アトリエうみねこ」のWebサイトの方に、少しサイズは小さめですが掲載いたしますので、よろしければ、そちらもぜひご覧下さい。