昨日、12月分のアトリエうみねこ「お互いに描き合う人物クロッキー会」を開催しまして、今年のクロッキー会が終了しました。
1.5ヶ月おき位ののんびり開催のイベントですが、おかげさまで夏から3回、開催できました。ご参加くださった皆様、ありがとうございます。
また来年もよろしくお願い致します。
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アトリエうみねこの人物クロッキー会は、プロのモデルさんをお呼びしていません。この方針は、2年前に、今の前身となるクロッキー会を作家仲間と始めたときから変わっていません。
プロのモデルさんをお呼びするにはそれなりのお金が必要ですし、会場を借りるにも先立つものが無いと開催できないため、単純に経費を押えたいという理由もありました。
しかしどちらかというと、「プロのモデルを使わない」というよりは「参加者がモデルもやる」ということのメリットの大きさの方を私は重要視しています。
クロッキー会の参加者さんは、性別も年齢も体格も、それぞれ違います。
また、モデルとしては素人ですから、「決めポーズ」的なポーズはできません。
それぞれがどういう人物画を描きたいかということにもよるのですが、いつも「同じような体格で決めポーズの人物しか描けない」というのではなく、題材や仕事上の要求に合わせて「バラエティに富んだ人物や動作が描ける」ためには、できるだけ多くの違うモデルを見て描いた方がよいと考えています。
そのためのトレーニングとして「電車中や街中で通行人をクロッキーする」という方法がかなりの確率で奨められるのですが、見知らぬ他人をターゲットにするというのも、「万一、目が合って怪しい人扱いされたらどうしよう」という不安や「ある程度静止してくれないと落ち着いて描けない」という課題があって、実践しきれていない人が多いのも現実と思います。
だったら、素人をモデルにするというシチュエーションを、クロッキー会という形の中に作り出せば良いのでは・・・。と考えました。
時々「素人のモデルだとつまらないポーズしか取れないのでは?」というような質問をされることがありますが、もともと、決めポーズは求めていません。
できるだけ自然な日常の動作のなかから、ポーズを切り取ってもらえればいいなと考えています。
ということは、参加者の皆様にも、少しだけ、ポーズというものについて考える時間を持っていただけたらいいなということでもあるのですが・・・これは少しずつ・・・
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ブログやSNSでも今まで言及したことはなかったと思うのですが、人物を描くということについて、「めずらしく影響を受けたかな?」というか「考察するきっかけになった」と思う本があります。だいぶ以前に読んだものです。
ご興味が湧くようでしたら、分厚い本ではないのでお手にとってみてください。
ディドロ「絵画について」佐々木健一 訳 岩波文庫
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今回の日記は人物モデルについて色々書かせていただきましたが、論点は、あくまでも人物を描く際のモデルに対する視点や考え方の違いです。
ですので、美術モデルのプロフェッショナルを否定しているわけではありませんし、私自身もご縁があればプロのモデルさんがいらっしゃるクロッキー会、デッサン会に出かけていって描くことを楽しんでいます。
その点はどうか誤解なさらないでください。