わたくしはただ熱病のごとく
耽ることをためらわなかったかもしれない。
想いは様々に巡るけれど
何人たりとも
己が歴史に刻まれる大宇宙の法則に
抗う事かなわず。
わたくしは
わたくしに定められたままに
歴史の中に刻まれるのみ。
巡り逢わせとは
常に制御不能なもの。
不能なゆえに甘美なもの。
もはや成熟を止められぬ果実の如く
わたくしの時刻は刻まれ、
わたくしは既に
熱病に耽ることを許されぬ。
それでも
そこはかとない憧憬を
わたくしは遠くに眺めたつもりでいて、
奥で燻るなにものかを
覆い隠すためのびろうどを探しあぐねる。
もしも、この瞬間が少女の頃であったなら。
巡り逢わせとは
常に制御不能なもの。
不能なゆえに甘美なもの。
不能なゆえに残酷なもの。
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